たかのプロ野球雑談記

野球が好きな大学生です。野球メインでたまに漫画の話もします。

代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン!〜いてまえ打線〜

いてまえ打線を知っているだろうか?「いてまえ」とは大阪弁で「やってしまえ」を指し、いてまえ打線とは近鉄バファローズの打線のことを言う。近鉄バファローズとは、2004年にオリックス・ブルーウェーブど合併し消滅するまで存在したパリーグの球団である。今回は主に、球団最後のリーグ優勝を果たした、2001年のいてまえ打線について紹介する。

 

9月24日、マジック3と優勝間近の近鉄対2位の西武の試合から振り返っていこう。

ローズが西武エースの松坂からホームランを放つ。これが日本記録に並ぶ、55号ホームランとなった。

4対6と2点ビハインドで迎えた9回裏。的山の代打の北川がレフトスタンドへのホームラン。これで一点差と迫る。続く大村はアウトとなるが、水口が四球を選び塁に出て、クリーンナップへと繋がる。日本記録更新の56本目が期待されるローズは三振に終わる。5対6のツーアウトで打席には4番中村紀洋、相手投手は完投を狙う松坂。近鉄ファンの期待の中、中村は松坂の3球目を振り抜き、打球はライトスタンドへ。これが、マジックを1にするサヨナラツーランとなった。

 

そして、9月26日のオリックス戦。マジック1の近鉄に奇跡が起こることとなる。2対5と3点ビハインドで迎えた9回裏、先頭の吉岡がヒットで出塁する。続く水口が二塁打、益田が四球と出塁。これでノーアウト満塁となった。

ここで、梨田監督は代打の切り札、北川博敏を打席に送る。北川はオリックスの守護神大久保の4球目を振り抜き、打球はバックスクリーンへと飛び込んだ。これが、プロ野球史上唯一の「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定本塁打」となった。

このときの、楠淳生アナウンサーによる、「左中間へ行ったぞ!行ったぞ!行ったぞ!今年の近鉄何かが起こった!なんと!逆転!サヨナラ!満塁!ホームラ〜ン!代打北川!これ以上の出来事はない大阪ドーム!帽子を投げ捨てた北川!中村走った!北川をで迎えた!しっかりと踏め!しっかりと踏めよ!ちゃんと踏めよ!ホ〜ムイ〜ン!今年の近鉄何かが起こりました!3点ビハインドから神がかり!」の実況はとても有名である。

前年、前々年最下位からの、12年ぶりのリーグ制覇であった。

 

日本シリーズでは、若松勉監督率いるヤクルトスワローズに1-4で敗退することとなる。

 

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続いて、打線を見ていこう。チームを率いるのは、2年目の梨田昌孝監督。打率.280、本塁打211本、得点770点はいずれもリーグ一位であった。

しかし、盗塁数はチームで35。当然リーグ最少である。主力選手から、「いろいろ動かれたのでは打ちにくい」という不満が出たために前年の68から盗塁数が激減したという、面白いエピソードがある。

参考までに、この年の盗塁王ダイエー井口資仁であり、盗塁数は44であった。

 

3、4番を務めるタフィ・ローズ中村紀洋本塁打を55本、46本の計101本打つ。歴代で唯一の同一球団での2人で100本塁打の達成である。プロ野球の長い歴史の中、王貞治長嶋茂雄のON砲や秋山幸二清原和博のAK砲など様々なスターコンビがいたが、彼らでさえもこの記録を打ち出すことはできなかった。

 

5番礒部公一、「リアル野球盤」で有名な6番吉岡雄二、7番川口憲史といずれも好成績を残している。

 

非常に面白いのが、この年の近鉄の投手の記録だ。チーム防御率が4.98でリーグ最低だったのだ。この、チーム防御率リーグ最低でのリーグ優勝は史上初、防御率4.98は優勝チームの中でもワーストである。それでも優勝出来たことから、いかにこの打線が優秀だったかがわかるだろう。

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