たかのプロ野球雑談記

野球が好きな大学生です。野球メインでたまに漫画の話もします。

振り逃げ満塁ホームラン?〜プロ野球珍記録紹介③〜

長いプロ野球の歴史の中では様々な珍しい記録が生まれた。今回はその中から3つ紹介していく。

ボークの打ち直しがホームランに

1998年7月15日の横浜対巨人戦で珍しい記録が生まれる。
この日の横浜の先発、斎藤隆が打ち込まれ、3回表終了時点で7-0と横浜の負けが濃厚だった。しかし、その裏に1点を返し、続く4回裏には一挙5点を返し7-6と追い上げる。

その後も互いに点を取り合い、8回裏ツーアウト一塁から打席には佐伯貴弘が入った。この時点で12-10と2点のビハインド。
カウント1-0から佐伯は、槙原寛己の2球目を打つ。しかし、打球を高橋由伸がキャッチしライトフライに。

これで、スリーアウトとなり交代となるはずが実は槇原の投げる直前に審判によりボークが宣告されており、打ち直しに。フルカウントからの8球目を打ち、今度は高橋の頭上を越えライトスタンドへ。同点に追いつくツーランホームランであった。

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横浜時代の佐伯貴弘


(参考までに、もし佐伯がボーク玉をヒットにしていた場合、打者走者がそれぞれ進塁しているのでボークは取り消され、佐伯のツーランが生まれることは無かった)

そして迎えた9回裏ツーアウト二塁、2番の波留敏夫がフェンス直撃のサヨナラを放ち、13-12で横浜が勝利。両チーム20安打の乱打線となった。



ボークのシーンは4分20秒あたりから

記憶より記録に残る男

「記憶より記録に残る男」と呼ばれているのは、ダイエー、ヤクルト、オリックスに在籍していた広永益隆選手。彼は生涯34本塁打と決してホームラン数は多くないが、その現役生活で打ったホームランはプロ野球の記録に残る物が多かった。

数々の節目の記録

彼の初本塁打ダイエー時代の1989年4月8日の日本ハムとの開幕戦で生まれる。5回表に代打で初打席に立った広永は西崎幸広から3ランホームランを放った。
このホームランが彼の第1号になっただけでなく、ダイエーホークス第1号と平成のパ・リーグ第1号のホームランになったのであった。

1990年9月26日のオリックス戦では、山沖之彦からNPB通算6万号のホームランを放つ。

さらに、1992年6月6日の西武戦では潮崎哲也からパ・リーグ通算3万号となるホームランを放つ。

1992年10月1日には近鉄野茂英雄から本塁打を放ち、これが平和台球場プロ野球公式戦最後の本塁打となった。

七夕の悲劇での一打

極め付けにはオリックス在籍時の1998年7月7日のロッテ戦。ロッテはこの日の試合前までに、当時の日本プロ野球史上最長タイの16連敗をしていて、この試合で記録が更新されるかどうかという状況だった。

ロッテの先発はエースの黒木知宏。広永擁するオリックス打線を8回2安打1失点に抑えていた。

脱水症状を起こしているにもかかわらず、9回もマウンドに立ち、3-1で2点リードの2アウト1塁で、カウント2-1という状況にまでオリックスを追い込む。相手バッターはハービー・プリアム。後1ストライクで連敗が止まるというところで、プリアムの苦手とする内角に139球目を投げた。しかし、プリアムは完璧に打ち返し、打球は残酷にもロッテファンが見守るレフトスタンドへ。同点に持ち込む2ランホームランであったのだ。

黒木はマウンドに崩れ落ち、チームメイトに抱えられながらベンチへ。試合は延長にもつれ込むことになった。

3-3のまま迎えた12回裏、オリックスの攻撃。満塁の状況でロッテの3番手近藤芳久に対し、五十嵐章人の代打、藤本博史の代打で登場したのは男広永。なんとサヨナラ満塁本塁打を放ったのであった。

この試合でロッテの連敗はプロ野球史上最長の17に。翌8日も敗れて18連敗となった。この7日の試合は「七夕の悲劇」として今もなお語り継がれている。

また、この本塁打で広永は両リーグで代打サヨナラ本塁打を放ったことになった。


振り逃げ満塁ホームラン

1960年7月19日の東映(現・日本ハム)対大毎(現・ロッテ)戦で事件は起こる。3-1と2点ビハインドの大毎の攻撃。2死満塁のチャンスにバッターは山内一弘。相対するは東映のエース土橋正幸

フルカウントからの次の球を見逃し、球審はストライクコール。これで三振、スリーアウトチェンジのところが捕手の安藤順三がこれを後逸。その間に大毎の走者は次々と生還。

守りの東映側はというと、保井浩一監督が「引き上げろ」と言ったためベンチに引き上げる。大毎の山内も一度はベンチに戻りかけるが他の選手に促され、ダイヤモンドを一周。これが、逆転の満塁ホームランとなったのであった。

東映側は球審に「(山内がバットを)振っていない」「一塁に走者がいる」「振り逃げにならないのではないか」などと猛抗議するも認められなかった。

プロ野球のルール上、3アウト目の三振となる球を捕手が後逸し打者が振り逃げで一塁へ向かった場合、打者にタッチするか一塁に送球するかでアウトを取る必要がある。
今回のような満塁の場合、三塁走者が生還する前に球を取って本塁を踏むことでも3アウトになった。

なお、公式記録では振り逃げ満塁本塁打ではなく、三振と後逸。

以上、プロ野球珍記録紹介③であった。

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